

クリスマスイブの「サンタの夜食」の代わりに、困っている誰かの食卓に温もりを届ける──そんな少しユーモアと、とてもあたたかいメッセージから始まるキャンペーンが、今年のクリスマスにイギリス・ロンドンで展開されています。
手がけたのは、チャリティ団体「Soup Kitchen London」とクリエイティブエージェンシー「Wonderhood Studios」。
その名も「Sorry Santa(ごめんね、サンタ)」です。
クリスマスイブのミンスパイとニンジンの習慣を、希望のテーブルに
イギリスでは昔から、子どもたちが「サンタの夜食」をテーブルに置いて眠りにつく習慣があります。
用意されるのは、ミンスパイとシェリー酒、そしてルドルフへのニンジン。
これは、クリスマスイブの定番として親しまれてきた組み合わせです。
夜通しプレゼントを配るサンタへのねぎらいと、赤鼻の相棒への思いやり。
その気持ちをそっと形にして、子どもたちは眠りにつきます。
このささやかな習慣は、感謝と想像力を育てる家庭の風景として、世代を超えて大切に受け継がれてきました。


けれど、このキャンペーンは、ひとつの数字をそっと差し出します。
サンタが1年間に受け取るミンスパイは、約730万個。
その一方で、同じクリスマスを十分な食事がないまま迎える人たちが、現実に存在しています。
この当たり前の善意を、ほんの少しだけ別の場所へ向けられないか。
そんな問いから生まれたのが、「Sorry Santa」というアイデアでした。
「Sorry Santa」─赤い縁取りの皿に込められた、やさしいメッセージ
キャンペーンの象徴となるのは、一枚のセラミックプレートです。
赤い縁取りのクラシックな皿の中央には、少し満腹そうなサンタクロースが描かれています。


( 画像出典: Soup Kitchen London / Instagram )
縁には円状に、こうした言葉が添えられています。
「Sorry, Santa! We’ve donated to the Soup Kitchen instead.(ごめんね、サンタさん!代わりにスープキッチンに寄付したよ)」
フォントは伝統的なセリフ体で、絵本のように優しく懐かしい印象。
一方、サンタの足元に積まれたミンスパイの山が、豊かさと不足の対比を静かに示しています。
この皿は、実際に「サンタ用のお皿」として置けるデザイン。
ミンスパイの代わりに、“寄付したという意思”を置く。
習慣そのものを、行動に変えるためのプロダクトです。
この取り組みでは、クリスマスイブにサンタのために用意するミンスパイ、シェリー酒、ルドルフのニンジンの代わりに、£5.55(約1,156円)を寄付しようと呼びかけています。
空想の存在ではなく、今この瞬間に支えを必要としている人の食卓に温もりを届けるという、ユーモアと優しさが重なったアイデアです。
関連情報
「Sorry Santa」はテレビCMではなく、主にSNSで広がっています。
特にInstagramでは、Soup Kitchen Londonの投稿を中心に、セレブリティやインフルエンサーが参加。
料理系クリエイターやリアリティ番組出演者など、幅広い層が自分の言葉で賛同を表明しています。
特徴的なのは、メッセージのシンプルさとやさしさです。
サンタを責めない。
罪悪感を過剰にあおらない。
ただ、「今年は、こうしてみない?」と、やさしく提案する。
そのトーンが、寄付を重い決断ではなく、新しいクリスマスの習慣へと変えています。
( 情報・画像出典: Soup Kitchen )
( 情報・画像出典: Soup Kitchen London / Instagram )
( 情報出典: Mediashotz )
クリスマスのユニークなチャリティキャンペーンに関連する話題では、クリスマスの「悪い子」リストに載った人に石炭を贈ることができる、英国のホームレス支援団体Crisisのユニークなチャリティキャンペーン「クリスマス・コール・ショップ」も紹介しました。このオンラインショップでは、5ポンドから100ポンドの寄付が可能で、購入した石炭は「サンタの悪い子リスト」に載せられた友人に送られます。


また、クリスマスジャンパーデーにあわせて作られた、新しい『ひつじのショーン』のアニメーションも紹介しました。モッシーボトム牧場の仲間たちが奮闘する姿を通じて、イベントを楽しく盛り上げながら、チャリティの楽しさを広く伝える作品です。


ユニークなチャリティキャンペーンに関連する話題では、ガムを噛んで送るだけで“ヒーロー”になれる「Hero Gum」も紹介しました。移植を必要とする患者とドナーの出会いをつなぐ、新たな希望のカタチです。


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