ウクライナの現状をリアルに伝える新しいアプローチとして、「Air Raid Alarm Clock（空襲警報時計）」が登場しました。この時計は、ウクライナの空襲警報システムに直接接続されており、実際の空襲警報が鳴るたびに同じサイレン音を発します。
この時計の目的は、単なる目覚ましではありません。それは 政治家や世界中の人々の意識を目覚めさせること です。ウクライナで毎日のように鳴り響く警報をリアルタイムで再現することで、戦争の現実をより身近に感じさせ、事態の深刻さを実感させることを目指しています。
ウクライナの危機をリアルに体感する「Air Raid Alarm Clock」
「Air Raid Alarm Clock」は、ウクライナの非営利団体「Razom for Ukraine」によって製作されました。この時計は、ウクライナ政府の公式空襲警報システムに接続されており、攻撃が発生すると自動で警報が鳴り響きます。
( 画像出典: AirRaidAlarmClock )
ディスプレイには、以下の情報がリアルタイムで表示されます。
- 警報が発生している地域
- ウクライナ国内で警報が発令されている割合
- 侵攻開始からの日数
実際、ロシアの侵攻以来、ウクライナでは平均して1日42回も空襲警報が鳴っているのです。この時計が鳴るたびに、ユーザーはウクライナの危機を思い出すことになります。
政治家への「強烈な目覚まし」
「Razom for Ukraine」は、この時計を単なるガジェットとして販売するのではなく、特定のターゲットに届けています。それは、アメリカとEUの政治家たち です。
彼らに対し、以下のようなアクションを実施しています。
- アメリカの上院議員や下院議員に手渡し
- 欧州議会の議員にも配布
- ベルギー・ブリュッセルのルクセンブルク広場でデモンストレーションを実施
特にブリュッセルでのデモでは、時計の警報が街中で響き渡り、多くの通行人や議員たちが足を止め、ウクライナの現状について耳を傾けました。このような活動を通じて、ウクライナの声を無視できない状況を作り出すことを目指しています。
Air Raid Alarm Clock: Brussels Stunt
38回の空襲警報が交錯する「Air Raid Alarm Clock」のインフォマーシャル
また、この時計のPRのために 「インフォマーシャル（TVショッピング風のCM）」 も制作されました。
The Air Raid Alarm Clock by RAZOM (English)
動画ではウクライナの俳優デニス・シェックが出演し、空襲警報が鳴り響く中この時計の機能紹介しています。その最中に実際の空襲警報が38回も発令されるという、現実とフィクションが交錯する演出となっています。
( 情報・文出典: AirRaidAlarmClock )
さいごに
「Air Raid Alarm Clock」は、単なる目覚まし時計ではありません。
それは、戦争が続く現実を伝え、世界に行動を促すためのツール です。
ウクライナでは、戦争が終息するどころか、未来が当事者を除外して話し合われる状況が続いています。その中で、ウクライナは依然として爆撃を受け、国民は日々恐怖と不安に直面しています。
この時計が鳴らすのは、単なるアラーム音ではありません。
それは、「今すぐ行動しなければならない」というメッセージなのです。
先日、イギリスの銀行ナットウエストが発表した購入詐欺の危険性を啓発するアドベントカレンダー「Scamventカレンダー」を紹介しました。
また、ベネディクト・カンバーバッチ主演で、英国の年金基金が森林破壊を助長する企業に多額の投資を行っている現状を風刺的に描いた広告「Benedict Lumberjack」を紹介しました。
あわせてどうぞ！
