VESアワード2025で最優秀長編映画視覚効果賞を受賞した映画『猿の惑星/キングダム』は、驚異的な視覚効果で大きな注目を集めています。
Wētā FXのYoutubeチャンネルに投稿された動画では、これらの視覚効果の背後にある技術と創造性に迫り、映画『猿の惑星/キングダム』の魅力を紹介しています。
この動画は映画製作の裏側に焦点を当てており、ネタバレが含まれている可能性があります。
映画を観る前に詳細を知りたくない方はご注意ください。
Wētā FXが創り出す新たな映像体験『猿の惑星/キングダム』
2024年公開の映画『猿の惑星/キングダム』は、Wētā FXの卓越した技術によって新たな映像体験を提供します。1,000人以上のスタッフが18ヶ月以上をかけて、パフォーマンスキャプチャ、クリーチャーシミュレーション、そして視覚効果(VFX)を駆使し、これまでにないリアルな表現を実現しました。
動画では、彼らの技術と情熱がどのように映像に命を吹き込んだのかが語られています。
動画タイトル | The Visual Effects of Kingdom of the Planet of the Apes | Wētā FX – YouTube |
動画時間 | 3:15 |
言語 | 英語 |
公開日 | 2025/02/11 |
配信チャンネル | Wētā FX |
1,482のVFXショットが生み出すリアルな世界
本作では、1,520ショット中1,482ショットにVFXが使用され、33分間が完全にデジタル映像で構成されています。実際の風景とデジタル技術が融合し、近未来の地球をリアルに描き出しているのが特徴です。
Wētā FXの技術で進化した猿たちの感情表現
Wētā FXは、俳優の演技を基にデジタルキャラクターを作り出す「パフォーマンスキャプチャ」を駆使し、これまで以上に細かい表情の再現を実現しました。特に本作では、猿たちの表情がより豊かで人間らしく描かれています。その秘密は、最新のフェイシャルディープラーニングソルバーにあります。赤外線カメラで俳優の顔の動きを捉え、そのデータを基に口の動きや表情を細部まで再現しました。
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さらに、ディープシェイプ技術を使うことで、キャラクターの顔に見られる記憶のしわや、動きによる自然な変化を表現。これにより、フェイシャルアニメーターは感情のニュアンスに注力でき、観客は猿たちの感情に深く共感できるようになったのです。
デジタルと実写のシームレスな融合が生むリアリティ
映画『猿の惑星/キングダム』では、自然に覆われた人間の都市や激しいアクションシーンが多数登場します。特に注目すべきは、デジタルと実写のシームレスな融合です。
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舞台は、自然に取り戻された人間の都市で、Wētā FXは実際のロケーションでは再現が難しいシーンを完全にデジタルで制作しました。この結果、映画には33分ものデジタル環境が組み込まれています。
特にオーストラリアのシドニーで撮影されたシーンでは、実際の風景に3Dアセットやデジタルマットペイントを加え、古代の人間の世界をリアルに表現しています。このような技術は、視覚的なリアリティを高め、観客を物語の中に引き込む力を持っています。Wētā FXの革新的なアプローチにより、観客はまるでその世界にいるかのような没入感を体験できるのです。
視覚効果と特殊効果の密接な連携
Weta FXのチームは、視覚効果と特殊効果の部門が密接に連携し、実際の火や水の要素を効果的に取り入れています。例えば、村の攻撃シーンでは、液化石油ガス(LPG)を供給する配管システムを利用してリアルな火を再現しました。このシステムを通じてLPGを燃焼させることで、実際の炎を生成し、デジタルの炎の参考としても活用しました。これにより、より自然でリアルな火の表現が実現されています。
さらに、川のシーンでは、特別に作られた大きな水槽(バックロットタンク)を使用し、俳優が水の流れに逆らう様子を撮影しました。
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このタンクは、毎秒400ガロンの水流を生み出し、俳優にリアルな体験を提供しました。これにより、デジタルキャラクターとの相互作用が一層リアルになり、観客に迫力ある映像を届けることができました。
これらのシミュレーションは、デジタル環境と実際のアクションを融合させるための重要な要素であり、映画『猿の惑星/キングダム』の視覚的な魅力を高めています。
さいごに
映画『猿の惑星/キングダム』は、Wētā FXの最先端技術とクリエイターたちの情熱が結集し、映画史に残る映像美を実現しました。この成果は、VESアワード2025で最優秀長編映画視覚効果賞を受賞することにつながり、業界におけるWētā FXの卓越性を証明しています。
先日、『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』におけるスライマーの視覚効果の裏側を取り上げた動画を紹介しました。
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また、映画『エイリアン:ロムルス』でのフェイスハガーのシーン撮影裏側を取り上げた動画を紹介しました。
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