

ロサンゼルスの夜、映画館の外には人々がずらりと並び、順番を待ちながら次々とバリカンの音に身を任せてゆく——。
彼らが手にするのは、ヨルゴス・ランティモス監督×エマ・ストーン主演の新作映画『Bugonia(邦題未定)』の無料チケット。代償は、髪。
「Free Bald Screening(髪を剃ることで無料で入場できる上映会)」と題されたこのプロモーションは、単に無料にするだけでなく、観客に主人公へのオマージュとして、あるいは映画の世界観へ一歩踏み込むための体験を提供しました。
映画館の前に鳴り響くバリカンの音
現地時間10月21日、ロサンゼルスのカルバー・シアター前には、午後2時の時点で100人を超える映画ファンが列を作っていました。目的はもちろん、エマ・ストーン主演、ヨルゴス・ランティモス監督による新作『Bugonia』の「Free Bald Screening」。
People getting their heads shaved at the free bald screening of ‘BUGONIA’. pic.twitter.com/7VOzpYseqB
— DiscussingFilm (@DiscussingFilm) October 21, 2025
既にスキンヘッドの観客はそのまま入場可能で、髪のある人は会場に設置された特設理容室でその場で刈ってもらう仕組みです。


午後2時には長蛇の列ができ、夜8時の上映までに100人以上が集まり、実際に約25人が頭を剃りました。
参加者の中には「無料映画と無料カットのチャンスを逃すわけにはいかない」と語る熱心なファンも。理容師のKP Kalamaさんは、この日だけで自身の“1日最多カット数”を更新しました。


( 画像出典: Reuters )
“髪がなくてもカッコいい”を肯定する体験型キャンペーン
『Bugonia』は、エマ・ストーンが演じるスキンヘッドの女性CEOが主人公のSFブラックコメディです。彼女は誘拐され、「地球を滅ぼそうとする異星人ではないか」と疑われるという独特のストーリーが展開されます。
観客が頭を剃るという行為は、作品の持つ独自の世界観や問いかけを体感的に示す、印象的な演出となっています。


参加者の一人は「髪を失ってみると、むしろ自由を感じた」と話し、普段から坊主にしている女性は「髪が長くなってきたので、髪を剃りたかった」と語りました。
このイベントは単なる話題づくりにとどまらず、薄毛に悩む人や、思い切って頭を剃ってみたいと感じている人たちに、前向きな一歩を促すユーモラスなメッセージを発信しています。


( 画像出典: Reuters )
関連情報
監督のヨルゴス・ランティモスは、『哀れなるものたち』や『女王陛下のお気に入り』で知られる奇才。彼は人間の不条理をユーモラスかつ不気味に描く作風で、今回の『Bugonia』でも独自のシュールな世界観が注目されています。ベネチア国際映画祭でのプレミア以降、その斬新な内容に対する映画ファンの関心はさらに高まりました。
日本での公開日はまだ未定ですが、もし同様のイベントが行われたら、あなたは参加しますか?
髪を失ってでも観たい映画——それが『Bugonia』の魅力なのかもしれません。
( 情報・文出典: New York Post )
( 情報・画像出典: Reuters )
外見を条件にしたキャンペーンの話題では、Cinemark Brasilによる、ズボンの上に赤い下着を履けばチケットが1枚タダになる「スーパーマン2×1」キャンペーンも紹介しました。ジェームズ・ガン監督の新作『スーパーマン』を倍楽しめる、遊び心満載のヒーロー体験です。


また、ウエンディーズ・オーストラリアが展開した「Redhead Redemption(赤毛の名誉回復)」キャンペーンも紹介しました。赤毛の人々に無料バーガーを提供し、見た目の多様性を称えるユニークな企画です。


髪に関連するキャンペーンの話題では、ジレットが薄毛を前向きに捉えるミュージカルキャンペーン「So Long Hair, Well」も紹介しました。名曲「So Long, Farewell」に乗せて髪と笑って別れる姿が描かれています。


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